基本的なところではインフイニテイのほうがクルマ作りが古典的である。
先進性セルシオのよさは近代工業のレベルでなくては実現できない、精度の高い工業製品のよさを持っていることにある。
いわゆる「手.つくり」のレベルでは、あのクルマのNVH対策などにはなかなか充分に対抗できまい。
いっぽうヨーロッパのメルツェデスやロールス・ロイスなどは、工業製品以上のところを目指し、手づくりのよさを求めている。
インフイニティはこの両者の中間にあるようなクルマである。
そのどちらを選ぶかはユーザーの好きずきというところか。
結論革新的なことを高級車で実現するのは難しい。
私はインフィニテイのアイディアを思いつきとはいわないが、もっと深く掘り下げるべきではなかったかと思う。
そうでなければ、こうした提案はなかなか受け入れられまい。
これからの高級車というのはかんたんに何でも付けて、ギンギン、ゴテゴテに作るということではなくなるだろう。
快適性は絶対に必要だが、過剰なものは取り去る時代が来たのではないだろうか。
一時、バブルの時代には過剰がキーワードだったが、いまや過剰は重さ、くどさに通じている。
現在はお金持ちでも、もっと軽快でスポーティなライフスタイルを求める時代になってきているのだ。
その点、セルシオもインフイニティもなんだか重苦しく古典的である。
3・24のV6を縦置きにして、前輸を駆動するHの最高級車。
かつてアメリカで大成功をおさめたレジエンドのマーケットは、いまや急速にしぼんでしまった。
その原因はまずは昨今の急激な円高である。
当初、2万7000ドルで登場した価格を1万ドル近く値上げしなければならなかったのだから、どうしたって苦しい。
それに加えてJ・フェリー、レクサス300(ウィンダム)といった強力な日本からのライバルの登場だ。
かくしてレジエンドはいまやきわめてつらい状態に追い込まれている。
パッケージング、スタイル全長455皿、全幅110側、全高1405聞、ホイールベース210m。
ボディはオーソドックスな4ドアセダンとクーペの2種。
レジエンドは最初からアメリカ向けに作られているから、やたらと巨大な外寸である。
いわゆるフロントミドシツプと称する、縦置きエンジンを前車軸より後ろにもってくるレイアウトだから、ボディが大きなわりには室内が広くなくなってしまう。
同じ3tクラスのFF、ウィンダムと比べるとどうしても室内は狭い。
たしかにスタイルはなかなかで、クーペなどアメリカ車っぽくて、カッコいいのだが。
それでもホレジエンド(H)ンダはこのさい、このパッケージングを考え直し、レジエンドを根本的に構築し直す必要があるだろう。
ヨーロッパのライバル、たとえばプジョ1605やアウディ100といったあたりと比べると、格段に静かで、ヴアイプレーシヨンも少ない。
Hはレジエンドにリファインを重ねて相当、上等なクルマに仕上げてきている。
ライバルと比較して日本でのレジエンドは本来ならセンティァ、ディアマンテというところがライバルだが、あらゆる意味でそれらのクルマよりクラスが上だ。
だからクラウン/セドリックのライバルといえるのだが、クラウン/セドリックよりはるかにパーソナルなイメージが強い。
先進性もはやHはこのクルマを抜本的に考え直さなければならないところに来ている。
従来、ζのセグメントにはクラウンとセドリツクしか存在してこなかったが、セドリツク、クラウンというクルマはよほどのことでもないかぎり、抜本的に変わり得ない。
私は新しい価値観の高級車はHに求めるのがいちばんいいと思う。
結論はたしてHは次のレジエンドを用意しているのか。
それは私の知り得るところではないが、もし、Hが次のレジエンドを作るのだとしたら、私はそこで現在の自動車が抱えている問題<省エネ、リサイクル、安全>といった問題に積極的かつ大胆に取り組んでほしい。
Hだけにかぎらず、もはや日本のメーカーはアメリカの燃費法とかヨーロッパのリサイクル法が出るたびに、一喜一憂して、その対策を考えている場合ではない。
いま日本の高級車は、そうした問題を超えて、ほとんど理想主義的なクルマ作りを目指すべきときに来ている。
そしてそれは、それに乗ることがそのまま、自己の思想表現につながるクルマであるべきだ。
ことによると世界中のリーダーが先を争ってそのクルマに乗るそんな高級車作りを考えてほしい。
はたしてそんなクルマが売れるのかという問いには、売れると答えておこう。
いまやそういう時代なのだ。
新しいレジエンドは「今日、〇〇さん何で来たの?」「いや、しょうがないから、ぼくもレジエンドを買いました」「新しいねえ」と、それに乗っている人に対する見方がコロッと変わるようなクルマでないとダメである。
私、TがHに望むのは、私のようなクルマ好き人間が、やれぺントレーだ、ジャグァーだとノンキなことをいっていられなくなるほどの、インパクトあるものを作ってもらいたいということなのだ。
センティア大きいだけにアラがまる見え11年にMがマークHセグメントに送り出した2・5134級のFR乗用車。
Mは安価なわりに大きなクルマが売れるだろうとの読みで、このセンティア/MS1を作ったのだが、センティアは当初、善戦するかに見えて、結局その目算ははずれてしまった。
安いクルマは小さく凝縮して作るとアラが見えにくいが、センティアはふくらませているぷん妙にアラが露見してしまう。
しょせんはMのパベルの搭だったということか。
パッケージング、スタイル全長425剛、全幅175刷、全高130m、ホイールベース250m。
きわめて流麗なスタイルの4ドアセダンである。
このスタイルはたしかに流麗だが、ただ大きいというだけで力感、質感に欠ける。
といっていわゆる軽快さもない。
煮詰まった感じがしないのである。
要するにただ薄っぺらなだけというデザインなのだ。
インテリアもまたお金をかけていないだけ、いかにも安っぽい出来上がりに終わってしまっている。
たしかに安い、大きいクルマという行き方はないでもない。
アメリカにはセンティアぐらいの大きさでクライスラーHがある。
ところがこのーHはー万5000ドルとセンティアの半値近くなのだ。
こうなるとセンティアは「機能的にはHと変わらないのに高いよなあ」となってしまう。
いろいろな意味でやはり詰めが甘い。
こういうクルマは最低7年ぐらいは作るのだから、充分な開発期間をおいてじっくりと煮詰めていかないとダメだ。
ライバルと比較してこのぐらいの大きさになると、アメリカマーケットならセルシオぐらいの高品質を要求してくるだろう。
セルシオはいまや415万ドルだが、はたしてMブランドでこれを4万ドルで売れるだろうか。
先進性センティアが登場したころの日本ではメーカーはお手軽にボンボン、ボンボンと新車を登場させ、かつモデルチェンジをおこなっていた。
センティアはそうしたマーケティング思想で作られたため、その発想が実に貧弱だ。
値段が安ければ売れるというだけの発想なのだ。
高級車というものは、「今度、センティアにしましたよ」「へえ、センティァ、どんなクルマですか?今度、見せてくださいーではダメである。
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